「フードトラップ」 感想 

今回紹介する本は、マイケル・モス氏の著書「フードトラップ」になります。

※以下ネタバレを含みます

内容を一言で表すと、アメリカ国内の大手加工食品メーカー(シリアルで有名なケロッグ社、オレオで有名なナビスコ社等々)の商品開発の裏側を取材した内容という感じです。

2014年の本ということで、現在の食品業界の状況とは異なる点もあるかと思いますが、各メーカーが自社製品の売上伸ばすために、どのようなアプローチをしてきたかがよく分かる内容で、今読んでもとても勉強になりました。

近年アメリカ人の肥満が大きな社会問題となっていますが、その原因は糖分、脂肪分、塩分の過剰摂取にあるというのが本書の主張です。

各メーカーの経営陣は、この3要素の過剰摂取が肥満の原因であることを認識しています。そして実際、糖分、脂肪分、塩分をカットした商品開発をしていますが、既存の商品よりも売上が落ち、ライバル企業との競争に勝てなくなるというジレンマを抱えているのが実情です。

また政府もメーカー同様ジレンマを抱えています。国民の健康を守るためにメーカーに糖分、脂肪分、塩分の減量を求めたい気持ち、経済発展のため加工食品メーカーを保護したい気持ちの間で板挟みになっています。

つまり政府主導で、加工食品中の糖分、脂肪分、塩分含有量の上限を厳しく制限できていない状況なのです。

消費者側(主にヘビーユーザー)からしても、糖分、脂肪分、塩分の取りすぎは体に良くないと分かっているものの、糖分、脂肪分、塩分過剰食品に依存してしまっている状態になっており、3要素を減量した商品になかなか手が伸びないのが現状のようです。

正直な感想として、肥満対策は人に任せられる状況ではないため、国民が食品に関する正しい知識を身につけて危険な食品を購入しないように自衛するしかないのではと思いました。

※余談ですが本書を通して、塩分についての多くの雑学を得ることができました。

・塩分は好ましくない風味(苦味、添加物の不快な味等)を覆い隠してくれる

・塩分は甘みを強調してくれる

・塩分は食品の腐敗を防いで、賞味期限を伸ばしてくれる

上記で挙げたのはほんの一例ですが、塩味のしない加工食品に塩が使われている理由がよく分かりました。

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